2019年3月24日

「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です。見なさい。あなたの母です。」

 主イエス・キリストが十字架の上でお語りになった7つの言葉の第3は「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です。見なさい。あなたの母です」という言葉です。これは2つの節に掛かる言葉ですが、ひとつの言葉として記憶されています。

 教会の伝統に従えば、これは、ルカによる福音書23章34節の「父よ、彼らをお赦しください」という祈りに続いて2番目に読まれるものとされてきたようです。

 ルカによる福音書の祈りがいわば敵のための祈りであったとすると、今日の祈りは、身内のための祈りと言葉であり、また身内への命令でもあります。ですから、この言葉は、実は、あまり重んじられなかったとも言われます。この御言葉は、私たちの信仰にとって、いったい何を意味するのでしょうか。            いよいよ、この世から去ろうとする時に、家族や親しかった人に対して、「後は頼むよ」と言うのは、救い主イエスでなくても誰でも口にすると思います。                             この母と弟子に対する言葉をお語りになったところで、十字架につけられたイエスはこう思われたでしょう。「よし、これでこの世に自分がすべき仕事は、全部終わった。これで完成した」。

 母と弟子への主の言葉は、これがなければ地上でのみわざは完了しなかったような言葉であると理解することができます。その最後の言葉が身内への言葉であったのです。                        主イエスは、母へのご自分の責任、そこでなお明らかになるべき神の真理を大切になさったと言うことです。さらに、主イエスはこの言葉を語り得るためにも十字架におつきになったとさえ読み取ることができるのです。