2018年12月16日

「クリスマスを祝うために」

 祭司ザカリアという人はバプテスマのヨハネの父であったと伝えられる人物です。この人が神殿で祭司として働いていたとき、神の言葉を受け、その言葉どおりに誕生したのが、イエス・キリストの先駆者となったヨハネでありました。                                         当時、エルサレムにあった神殿では、大勢の祭司たちが日ごとに神への供え物や祈りを献げる仕事にたずさわっていました。この役目はくじ引きによって決められていましたが、ひとりの祭司がこの役目を担うのは生涯にただ1回と決められており、この役を終えた人は2度とくじを引くことはできなかったといいます。ですから、この物語はザカリアが生涯にただ1度の任務として聖所に入ったときに、そこで起こった出来事だったということになります。

 マリアがイエス様の母として選ばれたように、ザカリアはバプテスマのヨハネの父として選ばれました。神は救いの約束を、ご自分の選んだ人間を用いて成就しようとされます。けれども、こうした神の選びは、私たち人間の目から見るとき、あまりにも唐突であったり、思いがけないものであったりすることがあります。  しかし、そうした人間の側の驚きと戸惑いや抵抗を超えて、神の御言葉はその働きを果たし、神の恵みは成就するということを聖書は語ります。これらの聖書の物語が教えているのは、人間の限界、弱さや愚かさにもかかわらず、神のまなざしは私たちの上に絶え間なく注がれ、神の約束と御業は果たされていくのだという事実です。                                               この出来事に続くもっとも大きな出来事がクリスマスです。主イエス・キリストの誕生は、神が創造された世界の歴史の中で起こった、神の恵みの業なのです。