2018年12月9日

「みこころのままに」

 婚約中の女性が、婚約相手以外の子どもを懐妊する、ということは、当時の社会で大変なことでした。マリアには身に覚えがなかったこととはいえ、人の目にはそれは「掟破り」であり、「大変な罪」と見られる可能性がある、そんな出来事でした。

 ここでのマリアの態度、それは神さまの与えられる「定め」というものに対し、従順に従う人の姿として、信仰者の模範として読まれてきたことが多いように思います。しかし、「ホントにそうなのかなぁ!?」と思うのです。   誰でも逃げ出したくなるような、できれば勘弁してもらいたい状況です。マリアも最初は「不思議に思っている」というような軽い感じではなく、あきらかに戸惑い拒否するような応答です。けれどもさらに続く天使からのお告げ「聖霊があなたに降り、あなたは身ごもったのだ」と聞くと、すぐに「お言葉どおり、この身に成りますように」と受け入れるのです。                        私たちの人生には、時に苦しく辛い、受け入れがたいことが起こります。試練の道もあります。できることならわが身に起こってほしくない、ご免被りたい、逃げ出してしまいたいようなこと...。でもだからといって、投げ出し逃げてしまったら何も始まらない、何も変わらない...。

 そんな時、私たちの歩みを支え、背中をそっと押してくれる祈りの言葉があります。「神さま、あなたのみこころのままに」。

 この祈りの言葉によって、私たちは弱い自分を抱えながらも、きっと行く手に答えが示されることを信じて、明日に向かって生きていくことができます。                           新しく生まれようとする幼子のいのちを受け入れたマリアのように。そして自分のいのちを人びとのために捧げた主イエスのように。