2017年9月17日

「柔和な人びと」

 イエス・キリストが「心の貧しい人々」「悲しむ人々」に続いて祝福されたのは、「柔和な人々」でした。

 どうもキリスト者とは、柔和な人の典型であるかのように思われがちですが、これはよく言えば、「優しくて、穏やか」、逆の意味で言えば「弱々しくて、相手の力を恐れ、言いなりになりやすい」ということになるかもしれません。

 しかし主イエスが「柔和な人々」とおっしゃったのは、はたしてそういう意味だったのでしょうか。

     「貧しい人は地を継ぎ 豊かな平和に自らをゆだねるであろう」(詩編37編11節)。

 主イエスの言葉の背後には、この詩編の言葉があると言われます。また口語訳聖書では「柔和な者は国を継ぎ...」と訳されていました。ヘブライ語では、「貧しい」という言葉自体が、「柔和な」という意味を含んでいるのです。  「柔和な人」とは、あらゆる貧しさや逆境の中で、神に希望をおき、じっと耐えている人であると言えるのです。

     「主に望みをおく人は、地を継ぐ」(詩編37編9節後半)

 この「主に望みをおく人」というのも「柔和な人」の言い換えであると言えます。それゆえに、「柔和な人」とは、ただ穏やかな人というのではないし、弱々しい人でもありません。内側にしっかりとした信仰をもち、だからこそ本当の強さをもった人です。   まさに、主イエス・キリストの姿の中にこそ、「柔和」ということの意味が示されていることがわかります。柔和な人が地を受け継ぐとの約束は、誰よりもまずイエス・キリストご自身において、真実なものとなったと言えるでしょう。そしてこのイエス・キリストに学び、イエス・キリストの弟子となる者が「地を受け継ぐ」約束を与えられているのです。