2017年10月29日

「人を生かす神の息」

聖書のはじめ、創世記の冒頭に天地創造の物語があります。そこには、創造の7日間のことが記され、天地と万物の創造の最後、6日目に人間が神にかたどって創造されたという記述です。そして、創世記にはもう一つの創造の物語があります。それは創世記2章であり、そこには7日間の創造の物語は記されていません。聖書の関心は特に人間の創造に集中されています。

「主なる神は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった。」(創世記27節)

「主なる神は」とあるのは、みだりにその名を唱えてはならないと言われた神聖4文字(YHWH)による神の名が記されていて、イスラエルの民はそれを「主(アドナイ)」と読み、やがて本来の読み方を忘れたと言われます。 明らかにこの2章の背後には、神の名を特別に告げ知らされたイスラエルの信仰者たちの姿があります。彼らは、ヤハウィストと呼ばれますが、ソロモン王によるイスラエル繁栄の時代に生きた信仰者たちであると言われます。彼らは繁栄の中にいながら、神により人間は「土の塵」で形づくられたと伝えました。

 聖書のこの箇所の特徴は、ただ土からと言わず、土の「塵」から造られたと伝えているところにあります。そこには、もともとの人間の弱さや脆さ、儚さが強調されています。繁栄の時代に抵抗して、このことが告げられたと理解されます。    人間は、時代の繁栄だけでは生きられません。どうにもならない人間の無力、虚しく疲れやすい人間の現実があります。それを知っていた人びとがこの聖書の背後にはいたのです。