2017年6月25日
「必要な糧(かて)」─主の祈り5
今週から「主の祈り」の後半に入ります。主の祈りの前半を貫いていた言葉は、「あなたの」という言菓でした(「あなたの名」「あなたの国」「あなたの心」)。
それに対して、後半を貫く言葉は、「わたしたち」です。つまりここから、私たちがこの世界で生きるための祈りを始めるのです。その「私たちのための祈り」の最初が「糧(かて)」であり、食べ物についての祈りです。 「わたしたちに必要な糧を今日与えてください」(マタイによる福音書6章11節)と新共同訳聖書にあります。礼拝の冒頭に唱和している「主の祈り」は、1880年に訳されたもので「我らの日用の糧を、今日も与えたまえ」と文語調となっています。「糧」とは、そのまま訳すと「パン」となるのですが、1880年頃(明治時代)は、日本においてパン食が一般的ではなかったので、「糧」と訳されたと考えられます。
主イエスは、「罪のゆるし」よりも、「誘惑からの守り」よりも先に、「パンをください」と祈りなさいと言われます。それを、納得できない方がおられるかもしれませんが、主イエスが「まずパンを求める祈り」を教えられたことは注目すべきことであり、喜びであると思います。 主イエスは、私たちにとってパンがいかに大事であるかということ、まずそれがなければ他のどんなことも成り立たないほど、大事であることをよく知っておられたのです。