2016年4月24日
「道・真理・命」
ヨハネによる福音書は、13章31節から16章の終りまで、イエス・キリストが世を去る前に、愛する弟子たちに語られた最後の教え、いわゆる「訣別(けつべつ)説教」を記しています。 主イエスが弟子たちに、御自分の死の意味を教え、御自分が父なる神のもとに帰られた後、弟子たちがどう生きるべきかを教えられたのであります。
このような訣別説教は他の福音書には記されていません。おそらく主イエスは十字架につけられる直前には、御自分の死後の詳細な展望のようなものは持っておられず、嵐のように襲いかかる試練の中で御自分をただ神の御手にすべて委ねる思いで死なれたのだと思われます。それに対してヨハネによる福音書の記者は、主イエスが十字架の死のあとによみがえられて、弟子たちを立ち上がらせ、キリストの教会を建てられたことを経験した者として、あの復活のキリストであれば、弟子たちと別れるにあたって、こう教えられたに違いないとヨハネ自身の心で聞いたキリストなる神の御心を書き記したものと思われます。 教会がキリストの復活後に学び知ったことを、十字架を前にしてのキリストの言葉として記しているのです。
1節のギリシア語は、「あなたがたは、すでに神を信じています。そして今や、もう一歩踏み出してわたしを信じなさい」と訳すことができます。または、主イエスがキリスト者に与えようとしておられる未来の祝福のゆえに、「あなたがたは、神を信じ続け、わたしを信じ続けなさい」とも訳すことができます。 あなたの心に響いたのは、どの訳文でしょうか。