2016年11月20日
「パウロの手紙について」
新約聖書の中には「手紙」と名のつく文書が全部で21あります。そのうち、「使徒パウロから〇〇へ」といった形で、パウロの名前で書かれている手紙は13あります。 新約聖書の最新の研究によって、そこに使われている単語や言い回しが分析され、また時代考証などが行われた結果、その中で、「真正のパウロの手紙」と「パウロの名による手紙」に分けることができます。
このパウロの手紙は、ローマの信徒への手紙、コリントの信徒への手紙一・二、ガラテヤの信徒への手紙、エフェソの信徒への手紙、フィリピの信徒への手紙、コロサイの信徒への手紙、テサロニケの信徒への手紙一・二、テモテへの手紙一・二、テトスへの手紙、フィレモンへの手紙があります。
「コリントの信徒への手紙」からは、パウロとコリントの信徒たちとの個人的な関係や、特にパウロが自分への批判にどう応答しているかが、理解することができます。
パウロのことを、多くの信徒たちは慕い支持してくれましたが、パウロが教会を迫害する者であった過去や、使徒としての権威を疑問視する人もいました。そしてパウロの説教での話し方や手紙の書き方を批判する人もおり、また彼は親しみにくく、批評が厳しすぎると考える人もいたようです。 そこでパウロは、キリスト・イエスの使徒としての自らを弁明するなかで、共に暮らし働いたコリントの教会の兄弟姉妹に向けて、その信徒たちからの質問に応え、そして罪を犯していた人びとを赦して慰めるように励まし、キリスト者を助け、惜しまず施すように信徒たちに勧めるために、この手紙を書きました。