2019年3月17日

「わたしと一緒に楽園にいる」

「はっきり言っておくが、あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる。」                 主イエスのこの言葉は、問いかけと願いの言葉に対してお答えになった言葉です。主は十字架の上さえ対話の場所としておられます。

 主イエスは十字架につけられた時、ふたりの犯罪人と一緒につけられました。そのうちのひとりが主に願い出ました。「イエスよ、あなたの御国においでになるときには、わたしを思い出してください」(42節)。 この犯罪人はおそらく主イエスよりももっと後に息を引き取ったであろうと思われます。しかし、確実に死を迎える。死に瀕している男が、イエスに死を越える望みが与えられることを願い、同じく確実に死に至る途上にあるイエスがそれに応えてくださったのです。                            この主イエスの言葉は私たちの死にも関わりがある言葉として、多くの人びとが心に刻んできました。ここに死に直面する私たちを励ましてくださる主の言葉を聴いてきたのです。

 十字架にかけられていた犯罪人の男は、逃れられない死に直面しやっと悔い改めました。自分は悪いことをしてきたのだということを認めます。そして、主イエスにすがるようにして願いを述べ、主から、しかも主ご自身と共に楽園、パラダイスに入るとの約束を受けました。このことだけでも既に私たちにとっても、どれほどの慰めとなるでしょう。しかも私たちもまた死の土壇場になって悔い改めても遅くはないのだと知るのです。ギリギリのところでなお悔い改める道は開けているのだという慰めの言葉として、この主の言葉が聴かれます。 おそらく昔の教会の人びとも、何よりもそういう意味で自分たちに対する慰めの場面として、ここを読んだのではないかと思われるのです。